phobbies’s journal

読書好きです。深い思考が欲しいです。考えをまとめたいです。

【小説】すべてがFになる 森 博嗣

僕は普段あまりミステリーを読まない。村上春樹村上龍などの思想的な小説を多く読む。おそらく、ミステリーは大体予想ができて、あまり面白くないという固定概念があったからだと思う。でも、今回の「すべてがFになる」を読んで、その固定概念がひっくり返された。最後まで予想できない展開が続いたからだ。密閉空間で起きた殺人事件に天才少女とその教授が徐々に問題を解決していく様子が写実的に描かれていて、その情景がありありと浮かんできた。

今回は、この物語で印象に残ったセリフを一つだけ紹介したいと思う。

 

それは、真賀田博士の言っていた「人間は死が怖いのではない。死にいたるまでの生が怖いのだ」という言葉だ。多くの人は死は怖いものとなんとなく思っていると思う。でも実際は、死にいたるまでの痛みや後悔、虚無感などが怖いのだと真賀田博士は言いたかったのだと思う。僕はこの真賀田博士の意見に賛成だ。死んだら何も感じられないのだから、「死」が怖いというのは何となくおかしい。

でも、僕は「死」というものをあまり考えないようにしている。それは突然やってくるものだし、そんなものに頭を悩ませている時間はないと思うからだ。だから「今」を一生懸命生きることが大事だし、「死」についてはいつでもかかってこいくらいの感覚でいいと思う。

 

話が少しそれたが、今現在の自分の「死」に対する考えをまとめられたので良かった。とにかくこの小説は面白かった。「The Perfect Outsider 有限と微小のパン」という小説もあるらしいので、そっちもいつか読んでみたい。